パニック障害
療養的には、“薬物療法”と“精神療法”があり、様々な療養が有効性を認められている。精神療法において最も基礎的で重要なものが、「疾患に対する医師の解説」「心理教育」。パニック障害は、発作の不可解さと、発作に対する不安感によって激化していく疾患であり、医師が明確に症状について解説し、心理教育を行うことが万事の療養の基礎となる。精神療法の中で、有効性について最もよく究理されているのが、“認知行動療法”認知行動療法では、「恐れている状況への暴露」「身体感覚についての解釈の再構築」「呼吸法」などの訓練・ 練習が行われ、基本的には不安に振り回されず、不安から逃れず、不安に立ち向かう練習を行う。
系統的な認知行動療法を行う施設は日本には多くはないが、臨床医は認知行動療法的な患者指導を行っている場合が多い。他には、“心理療法”“暴露療法”なども療養法にある。
薬物療法
・・・パニック障害を発症すると最初に必要なのは、やはり薬です。症状が表れれば薬で抑えることが基本となり、発症して間もなければ、これだけで治る可能性も大きいのです。心療内科や精神科へは行きにくいものですが、恐怖がトラウマになればなるほど治りは遅くなるので、早めに行かなければなりません。根本療法ではありませんが非常に楽にはなります。再発しやすく、副作用として眠気・ 脱力感 ・ 吐き気 ・ 便秘 ・ 渇きなどがあります。
認知行動療法
・・・認知行動療法とは、ちょっと心臓がドキドキしただけで「死んでしまうのでは」と物事を悪い方にばかり考えたり、本来恐怖や不安を感じる必要のないことに過敏に反応してしまうなどの「心の過った反応」を治していくことが目的です。 自分の生活状況や考え方、行動がパニック発作とどう関連しているかを理解し、電車に乗れない、人ごみの中を歩けないなどの行動をコントロールできるようにしていく訓練療法です。
自律訓練法(リラクゼーション)
不安やパニックが起きたときに呼吸法やリラクゼーション法によってコントロールする手法を身につけます。身体の緊張を解く→心のリラックスを引き起こすことを利用します。
暴露療法(エクスポージャー)
不安や恐怖のために避けている場所や状況にちょっとずつ慣らし、克服した体験をつんで自信をつけていく手法です。「自分が避けている場所がパニック発作とは関係がない」ことを身をもって確かめていきます。最初の目標がクリアできたら、ちょっとずつ段階的に目標のレベルを上げていきます。
井上俊彦